耳垢栓塞

　耳垢（みみあか）そのものは病気ではなく、ほうっておいても、自然に外に出るものですが、ときに耳垢がかたまりとなり、外耳道に栓を詰めたようになることがあります。これが耳垢栓塞です。外耳炎や湿疹、耳真菌症などが原因になることもありますので専門医での除去が必要になります。耳垢は自然に排出されますので、熱心に取り過ぎると傷をつけることがありますので、あまりしないほうがいいです。

 外耳道異物症

　外耳道に異物が入り取れなくなったケースです。子供さんの場合、おもちゃの鉄砲玉、ビーズ、砂、消しゴムなどが多いです。また稀に、昆虫が耳の中に入ることもあります。。この場合、虫が暴れますので大変な症状になります。異物が入った時に無理に取ろうとするとかえって異物を奥に押し込んでしまう事がよくあります。特に、嵌頓している異物や虫などは素人では取れません。耳かきなどで取ろうとすると鼓膜を傷つけたり、あるいは外耳道炎や中耳炎の原因にもなりますので、すぐに診療を受けてください。

 外耳道炎

　外耳道の皮膚に感染、炎症を起こす病気です。過度な耳掃除や綿棒、耳かき、爪で傷つけたりこすったりすることにより外耳道の皮膚に細菌感染を起こします。耳垂れがでる、耳が詰まった感じがする、耳が痛む、耳を引っ張ったり、押さえたりすると痛む、かゆみなどの症状があります。進行すると、耳の周囲の皮膚が赤くはれたり、口が開きにくくなる、リンパ節炎などが出現します。ひどいかゆみが続く場合は真菌によることも多いです。

急性中耳炎

　中耳（鼓膜の内側にある空間）に感染、炎症を起こす病気で、症状としては耳の痛み、耳垂れ、耳の詰まり感、難聴などです。耳管の働きが不十分なお子様に多い傾向があります。風邪等で鼻や上咽頭(鼻の奥の部分)に炎症を起こし、耳管（咽頭と中耳をつないでいる管）を介して中耳に波及する病態が考えられています。鼻症状に続いて、突然に強い耳の痛みを伴うことが多いです。子供の中耳炎による痛みは一時的なことが多いですが、大人の場合、痛み、耳の詰まり感、難聴が長引くことが多いです。

滲出性中耳炎

　鼓膜の内側（中耳）に液体がたまっている状態で、聞こえが悪く、耳が詰まった感じがします。小学生以下の幼少児に多く、高齢者にも見られます。特に幼少児では中耳炎に引き続いて起こることも多く、難聴を訴えることが少ないため、気づきにくいこともあります。言葉を正しく覚えなければならない時期に難聴は問題ですので治療しなければなりません。子供の滲出性中耳炎は治療に時間がかかることも多いです。なかには慢性中耳炎に移行することもありますので耳鼻科専門医のもとでしっかりとした治療が必要です。

慢性中耳炎

　鼓膜に穴があいていて、耳だれをくりかえす病態です。難聴があり、耳鳴やめまいを伴うこともあります。また、耳だれは繰り返しますがあまり痛みがないことが多いので放置する方も多いようです。手術治療で治せることも多いので、手術の適応についての診断が大切です。

真珠腫性中耳炎

　鼓膜の一部が耳の奥に入り込む中耳炎です。多くは中耳炎を繰り返すことにより生じることが多いですが、中には先天性に真珠腫性中耳炎の場合もあります。進行すると強い炎症や骨破壊を生じ、耳だれ、難聴、めまい、顔面神経麻痺などを引き起こす恐れがあります。さらに進行すると髄膜炎や脳膿瘍を起こし重篤な状態になることもあります。治療は基本的には手術治療です。

突発性難聴

　突然に多くは片方の耳が聞こえにくくなる病気です。しばしばめまいを伴います。原因は明らかにされていません が、ストレスや疲労が一因となっている例が多いようです。早期に治療を開始しないと回復が困難になることがありますので、症状に気付かれましたら、すぐに受診してくださ い。

急性低音障害型感音難聴

　主に低音部の音の部分だけが突然に難聴になる病態です。難聴、耳のつまり感が主な症状ですが、難聴をあまり自覚しないケースもあります。